日産自動車=村田由紀子撮影

 日産自動車は22日、業績不振を受けて米国で募集した希望退職に、現地法人の従業員数百人が応募したことを明らかにした。東南アジア最大の生産拠点であるタイでも、工場の集約に伴う人員削減を検討するなど、経営立て直しを急いでいる。

 米国法人は4~9月、間接部門の一部従業員を対象に希望退職の募集を実施。対象者のうち数百人が応じた。応募者は12月末までに退職する見通し。

 また、東南アジア最大の生産、輸出拠点であるタイでは、二つある完成車工場のうち、老朽化している第1工場で一部の生産を取りやめ、第2工場への集約を進めている。

 それにあわせ、両工場で働く従業員を中心に、人員削減や配置転換を検討している。具体的な削減人数などは今後、詰める。

 日産は7日に発表した2024年9月中間連結決算で、最終(当期)利益が前年同期比93・5%減の192億円と大きく落ち込んだ。

 業績悪化の最大の原因は北米事業の採算が急激に悪化したことにある。日産が力を入れる電気自動車(EV)の販売が伸び悩む一方で、手ごろなハイブリッド車(HV)の需要が急速に高まっている。しかし日産はこうした車種がなく販売が落ち込んでいて、膨らんだ在庫を販売奨励金を使って解消するなど、販売費用の増加が利益を押し下げる状況になっている。

 これまで日本車のシェアが高かったタイでも近年、販売台数が落ち込んでいて、23年度は前年比29・7%減の1万4224台だった。

 内田誠社長は7日の決算記者会見で、26年までに世界で9000人の人員を削減する方針を公表した。ただ、具体的な国や地域は明らかにしていなかった。

 日産は世界生産能力を現状の年間500万台から2割縮小する合理化策も示している。人員削減と生産能力の削減で業績の回復を目指す考えだが、商品力の強化なども課題となっている。【秋丸生帆】

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