【ニューヨーク=清水孝輔】米ニューヨーク市の老舗タブロイド紙「デイリー・ニューズ」など米8紙は30日、生成AI(人工知能)を開発する米新興企業オープンAIと同社に出資する米マイクロソフトを著作権の侵害で提訴した。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)に続き、AI開発企業に対応を求める動きが小規模な新聞に広がってきた。
米ヘッジファンドのアルデン・グローバル・キャピタル傘下の8紙が共同で提訴した。両社がAIのデータ学習のために許可なく数百万本にのぼる新聞記事を利用し、著作権を侵害したと主張している。具体的な賠償金の請求額は示していない。
訴状には地方紙の「シカゴ・トリビューン」や「オーランド・センチネル」が名を連ねた。地方紙は部数が減少しており、生成AIが情報提供のプラットフォームとなることで購読者が減るリスクへの警戒感が強い。
NYTも2023年12月にオープンAIとマイクロソフトを提訴した。損害額は数十億ドル(数千億円)にのぼるという試算を示した。報道機関がコストをかけて取材した内容を十分な対価がないまま利用している点を問題視している。
生成AIをめぐってはメディア企業の間で対応が分かれている。オープンAIから対価を受け取り、記事のデータを提供する動きも出ている。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)は29日、オープンAIと提携すると発表した。データ学習向けに記事を提供し、チャットGPTが記事の要約を作れるようにする。要約には引用元と元の記事に誘導するリンクを含み、FTのニュースサイトへの誘導を促す。
欧州では他の主要メディアも同様にオープンAIとの提携を決めている。スペイン紙エルパイスなどの発行元や仏紙ルモンド、傘下に米政治サイト「ポリティコ」などを持つ独メディア大手のアクセル・シュプリンガーもChatGPTに記事データの学習を認めた。
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