旧ビッグモーターの中古車販売店(4月、横浜市)

伊藤忠商事は1日、中古車販売大手ビッグモーター(東京都多摩市)から事業を継承した新会社、WECARS(ウィーカーズ)を同日設立したと発表した。運営する中古車販売店の名前も新社名と同じにする予定だが、当面は店舗の看板は「ビッグモーター」を維持する。企業再生ファンドなどとの共同出資で運営する。自動車保険金の水増し請求などの不祥事で傷ついたブランドの再建が課題となる。

新会社の社長には元伊藤忠執行役員の田中慎二郎氏が就いた。新会社の持ち株比率(議決権ベース)は、企業再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)が95%、伊藤忠と伊藤忠エネクスの合計で5%。新会社への出資と借入金の引き受けなどを含めた買収総額は約600億円となる。店舗や従業員も新会社が引き継いだ。

旧ビッグモーター創業者の兼重宏行前社長らは新会社の経営には関与しない。主要な事業を切り出した後の旧会社は全国で相次ぐ訴訟の対応のほか、もともと抱えていた債務の返済などに専念する。

旧ビッグモーターでは2023年7月、自動車保険金の水増し請求などの不祥事が発覚した。23年11月には財務当局から保険代理店の登録を取り消された。一時、中古車販売が大きく減るなど業績が悪化していた。

伊藤忠グループなどの支援のもとで資金繰りを改善させながら、法令順守など企業風土の刷新につなげたい考えだ。不祥事が再発しないよう企業体質を改め、顧客からの信頼回復にも努める。

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