イオングループが専売する仏化粧品ブランド「イヴ・ロシェ」は11月、日本上陸5周年を迎えた。取扱店舗数は順調に増えた一方で認知度拡大が課題となる中、新商品やアンバサダー制度などを通して新たな顧客を開拓していきたい考えだ。同ブランドを国内で展開するイオンレーヴコスメ(千葉市)の中島裕子社長は「3〜5年以内に国内売り上げを現状の2倍にしたい」と意気込みを語った。
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イヴ・ロシェは1959年にフランス北西部のブルターニュ地方で誕生し、有機栽培された植物を使うなど自然由来の原料にこだわる。日本では2019年にイオンとウエルシアホールディングス(HD)が設立した共同出資会社、イオンレーヴコスメが同年から独占販売している。
国内での販売開始当初は首都圏のイオンやウエルシアHD系列の約100店舗ほどの取り扱いだったが、20年には500店舗、21年には1500店舗と順調に販路を広げた。24年10月時点では全国約2300店舗で販売している。主な顧客層は30〜50代の女性だが、女性が代理で購入し男性が使っているケースもみられるという。
日本での一番の売れ筋は「リンシングビネガー」(150ミリリットルで1320円)。シャンプーとコンディショナーのあとに地肌になじませて軽くマッサージし、お湯で洗い流すヘアケア製品だ。そのほかボディーケア製品やスキンケア製品なども取り扱っている。
足元でも新商品を続々と打ち出す。イヴ・ロシェが創業から今年で65周年となることを受け、10月からモロッコの蒸し風呂「ハマム」をテーマにした商品の販売を始めた。11月8日からはクリスマスコレクションを発売。「バニラ&オーキッド」など3種類の香りのボディローションやハンドクリームなどを取り扱う。22日にも豊富な栄養分を持つチェスナッツ(栗)を使ったヘアケアシリーズを発売する。
イヴ・ロシェの強みのひとつは比較的手ごろな価格帯だ。自然由来成分を多く含む商品は成分や製法などへのこだわりや手間の多さなどから価格が高めに設定されることが多い。ただ同ブランドは原料に使う植物の栽培から商品の販売まで一貫して管理することでコストを抑えているという。
中島社長は今後の課題としてイヴ・ロシェの「知名度不足」を挙げる。同社はイオンリテールの従業員のうち立候補した20人ほどを「アンバサダー」に任命し、今夏から活動を始めた。月1回のオンラインミーティングを実施し、イベント出店時の連携のほか店頭のポップのコメントなどの検討も進めている。
発売当初と比べ、国内の売上高は10倍まで伸びた。ただイヴ・ロシェが国内で主力とするヘアケア商品はI-neの「YOLU(ヨル)」など競合も多い。イヴ・ロシェが売り上げを伸ばすためには独自のブランド価値をどこまで訴求できるかが問われることになりそうだ。
(米田百合香)
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