▼EUの脱炭素補助金 欧州連合(EU)は脱炭素技術の財政支援として、イノベーション基金の補助金交付事業を手がける。2023年には48億ユーロ(約7600億円)の交付が決まった。グリーン水素の域内生産強化は柱のひとつだ。欧州経済領域(EEA)で水を電気分解する電解槽を用いてグリーン水素を製造する事業者に対し、補助金を10年間支給する。

補助金の支給は申請額の少ない事業者から優先的に選ぶ入札方式をとるため、コスト競争力が高い中国製品に市場を押さえられる懸念があった。国際エネルギー機関(IEA)によると、中国企業の電解槽製造能力は23年に15ギガワットで、世界シェアの6割に達した。

EUの関税では、中国製EV(電気自動車)に対し最大35.3%を上乗せする措置が10月に成立した。関税は加盟27カ国による投票で決まるが、ドイツやハンガリーなど反対国の意見を踏まえ、妥協案について中国政府と交渉を続けている。一方、補助金事業の要件は原則、EUの執行機関である欧州委員会の裁量で決められる。

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