「サステナビリティ説明会」に登壇した三越伊勢丹HDの細谷敏幸社長(東京都新宿区)

三越伊勢丹ホールディングス(HD)は4日、全社に占める百貨店事業の従業員の割合を現在の約7割より縮小する方針を示した。外商の営業支援にデジタルトランスフォーメーション(DX)を活用したり、人材派遣の子会社に店舗業務を集約したりする。百貨店中心だった人的資本を不動産や金融などグループの成長事業に振り向ける。

細谷敏幸社長が同日にオンラインで開いた同社の「サステナビリティ説明会」で明らかにした。2019年にグループの全従業員のうち百貨店に従事する人が約1万5000人で80%を占めたが、業務見直しなどで24年4月には約1万1000人の68%まで下がった。

細谷社長は「(百貨店の従業員の割合が)半数以下になることはないが、今後も下がっていくのは間違いない」と語った。その上で「百貨店はDXで要員を効率化し、グループの違うところで活躍してもらう」と強調した。

DXの一環で、得意客を担当する外商の営業支援ツールを自社開発した。カードを基にした購買データを人工知能(AI)が分析して商品を提案したり、ベテラン外商員約100人の営業ノウハウの情報を組み込んだりした。ツールで営業活動の生産性を高め、一人あたりの売り上げを底上げする。

店舗運営は美容部員などの人材を育成・派遣する三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズ(東京・中央)に集約して従業員を圧縮する。

三越伊勢丹HDは26年2月期から6カ年の次期中期経営計画で、百貨店の店頭販売で稼ぐ従来のビジネスモデルから、百貨店の顧客に不動産や金融などグループの多様なサービスを提供して収益を増やす「個客業」への転換を掲げた。百貨店以外の専門人材の確保やグループ横断で人材を流動化する人事制度の刷新を進める。

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