日本郵船は常温で二酸化炭素(CO2)を液化して運ぶ船舶の建造の検討を始めると発表した。CO2をエネルギー効率良く液化できる技術「常温昇圧」を採用する。具体的な建造時期は未定。発電所などから発生するCO2を液化して地下に貯留するCCS事業での活用を見込む。
日本郵船は同社とノルウェーのクヌッツェン・グループとの合弁会社であるクヌッツェン・エヌワイケイ・カーボン・キャリアーズ(KNCC)、造船大手の今治造船とジャパンマリンユナイテッド(横浜市)が共同出資する日本シップヤード(東京・千代田)と共に液化CO2を4万立方メートル運べる船の建造を目指す。
KNCCが液化CO2の運搬にかかわる技術や規制情報を提供し、日本シップヤードが効果的な建造方法を検討した上で日本郵船が事業性を評価する。
CO2を液化するには強い圧力をかけながら冷やす必要がある。タンク内を低温にするためには大量の電力が必要だ。高圧に耐えられるタンクは壁が厚くなり大型化がしにくく、大量の液化CO2の運搬に向かない課題がある。
そこで日本郵船などはKNCCの技術を生かし、タンク内をセ氏0〜10度、3.5〜4.5メガパスカルの「常温昇圧」と呼ばれる状態にして液化CO2を大量に運べる船を目指す。
日本郵船とKNCCはJFE商事とも液化CO2を運ぶ船舶タンクや陸上で一時的に貯蔵するタンクの実用化研究も進めており、このほど製造コストなどの算出が完了した。アジア各地で液化CO2の供給網整備につなげる。
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