米不動産投資・開発のアジア・パシフィック・ランド(APL)グループは5日、福岡県糸島市に大規模データセンターを建設すると発表した。2025年春に着工予定で、投資額は3000億円超を見込む。データセンターの規模を示す総受電容量は区域全体で300メガ(メガは100万)ワットと、九州最大規模になる見通しだ。

西九州自動車道の前原インターチェンジ(IC)付近で、約12万2000平方メートルの開発区域内に6棟のデータセンターを建てる。まず29年1月に1〜2棟目を稼働し、34年12月の6棟目稼働まで順次建設を進めていく計画だ。

APLによるデータセンターへの投資は糸島市が2件目。同社は23年8月、北九州学術研究都市(北九州市)で4年以内に総受電容量120メガワットのデータセンターを着工するとの計画を打ち出した。糸島市はこれを大幅に上回る大型プロジェクトとなる。

福岡県の服部誠太郎県知事と5日面会したAPLグループ日本法人(東京・港)の高原義宣代表は「東京・大阪に次ぐ第3のデータセンターのハブを福岡県に構築することを目指す」と話した。同社は九州北部でのデータセンター需要は受電容量ベースで1000メガワットに及ぶと想定しており、さらなる開発に取り組む。

(左から)アジア・パシフィック・ランド(APL)日本法人の高原義宣代表、福岡県の服部誠太郎知事、糸島市の月形祐二市長(5日、福岡市)

服部知事は「大規模データセンターはこれからの人工知能(AI)などの発展に非常に重要な要素だ」と歓迎した。

AIの発展により、運用に欠かせないデータセンターの需要は高まっている。速いスピードでの通信能力が求められるため、現在国内では8割超が東京・大阪圏に集中する。国は地方分散のため北海道や九州などでの整備を促している。

一方、九州では半導体関連の大型設備投資が進むなど電力需要が急速に増大している。巨大な電力を消費する大規模データセンターの立地にあたっては電力の確保や省エネルギー化が課題になりそうだ。

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