従来の「ピーポくん」のぬいぐるみ(左)と、新たな製造先の試作品(右)=東京都葛飾区で2024年11月25日午前11時32分、朝比奈由佳撮影

 警視庁のマスコットキャラクター「ピーポくん」のぬいぐるみの販売が4月から中止されているが、2025年4月の販売再開の見通しがたった。歴史をつなぐ新たな製造先が見つかり、危機を脱しそうだ。

 ピーポくんは、東京都民と警視庁の絆を強くすることを目的に、人々の「ピープル」と警察の「ポリス」の頭文字を取り、1987年に誕生した。両親と妹弟、祖父母の7人家族という設定となっている。

 警視庁職員互助組合によると、これまでぬいぐるみの製造を委託してきた埼玉県内の工場が、従業員の高齢化により24年3月に閉鎖していた。

 警察のイベントや広報のチラシなどに登場するピーポくんは都民に親しまれる「ゆるキャラ」。21~23年度にはぬいぐるみが約6200個販売された。販売中止後も「どこで買えるのか」といった問い合わせがあり、組合は製造の新たな担い手を探した。

 試作品などを提出した3社の中から選ばれたのは、東京都葛飾区のぬいぐるみ製造会社「メディコプレス」。02年に創業し、企業のマスコットキャラクターなどのぬいぐるみや着ぐるみの製作を手がけている。約6年前からピーポくんファミリーの着ぐるみを製作している縁もあった。

 今後は、一部が手縫いだったものを全てミシンで製作するため、作業が効率化されるという。材料はすべて国産。従来のデザインを引き継ぐが、よりかわいらしさを出すために、顔をふっくらさせるなどするという。

 梅津由都(よしと)社長(55)は「ピーポくんは長く人気があるキャラクター。これからも多くの人に愛されるよう、生産体制を整えて作り続けたい」と意気込む。サンプル品に修正を加え、25年4月の販売再開を目指す。

 販売場所や価格は検討中。これまでは、ポリスミュージアム(警察博物館、東京都中央区)や府中・鮫洲・江東の各運転免許試験場などで、「大・中・小」の3タイプが6000~2500円程度で販売されていた。【朝比奈由佳】

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