【ヒューストン=花房良祐】石油メジャーの米シェブロンは5日、2025年の設備投資を24年に比べて20億ドル(約3000億円)削減すると発表した。原油安や世界的な原油需給の緩和を受けて効率化を優先する。同社が設備投資を減らすのは新型コロナウイルス禍の21年以来。石油開発に積極的なトランプ前大統領が大統領選に勝利したものの、中国経済の減速などで原油相場が低迷するため。
シェブロンは25年の設備投資額を約150億ドル、関連会社の設備投資額を約20億ドルとする。合計すると24年に比べ約20億ドル減る。
米テキサス州のシェールオイルやメキシコ湾の海底油田、オーストラリアの液化天然ガス(LNG)事業「ゴーゴン」、カザフスタンの油田に投資を集中する。競争力の低いプロジェクトについては売却する。マイケル・ワース最高経営責任者(CEO)は同日、「高収益のプロジェクトへの投資を続ける」と表明した。
24年10〜12月に構造改革と資産売却などに伴い最大で計15億ドルの損失を計上することも公表した。
背景には世界的な原油の供給過剰がある。トランプ次期大統領は石油掘削を奨励する方針だが、原油相場の上昇圧力は弱い。
中国の原油需要が景気減速で盛り上がらない一方、米国や南米ガイアナは相場低迷下でも生産量を粛々と増やしている。需給緩和を解消したい石油輸出国機構(OPEC)と非加盟のロシアなどで構成する「OPECプラス」は5日、協調減産を延長すると決めた。
シェブロンの最終損益は新型コロナ禍の20年、最終赤字に転落した。22年は世界経済の復活とウクライナ紛争で原油相場が急騰し、過去最高益を記録したものの、24年は2年連続の減益となる見込み。
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