五洋建設は10日、約790億円を投じて洋上風力発電の工事に使う作業船2隻と作業機械を新造すると発表した。着床式洋上風力の基礎にあたる「モノパイル」を海底に据え付ける国内最大級のクレーン船やケーブルを敷設する船舶を建造する。2027年度以降の本格化を見込む洋上風力工事に大型船を導入し、工事を効率化する。
5000トンづりのクレーンを搭載する「大型基礎施工船(HLV)」を約1200億円で建造し、芙蓉総合リースと50%ずつ出資して共同保有する。25年1月に建造契約を結び、引き渡しは28年3月を予定する。
大型風車に必要な3000トン級のモノパイルを設置できる。クレーンの旋回や自力航行が可能で、世界有数の規模となる。クレーンを備えた作業船では脚を海底に延ばして船体を海面上に持ち上げる「SEP船」があるが、国内では大型のものでも2500トン級にとどまる。
ケーブル敷設船も芙蓉総合リースと共同保有し、約310億円の建造費のうち五洋建設が約155億円を負担する。5000トンのケーブルタンク2基を搭載する大型船で、天候や波が荒い外洋でも安定した作業が可能だ。24年12月3日に建造契約を結び、28年2月の完成を予定する。
五洋建設はこれまでに複数のSEP船を建造してきた。現在は北九州市沖合の響灘で25年度の運転開始を目指す洋上風力発電施設の建設を手掛けるほか、他の海域での施工も予定する。今回新たに発表した作業船は洋上風力の大規模入札の第3弾(ラウンド3)以降の工事での活用を見込む。
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