世界の航空各社が加盟する国際航空運送協会(IATA)は10日、2025年の業界の見通しを発表した。世界全体の旅客数は前年比6.7%増の52億人となり初めて50億人の大台を超す。売上高も初めて1兆ドル(151兆円)を上回る。国際情勢の不安が続く中でも航空需要は活況となるが、米ボーイングの経営問題に伴う航空機の供給不足などの課題も抱える。
25年の産業全体の売上高は1兆70億ドルとなり4.4%増える見通し。純利益は366億ドルで16%増える。
24年の機体メーカーからの航空会社への機体供給数は1254機となる見込みで、ピークの18年(1813機)から3割減の水準となる。米ボーイングの経営問題が影響したと見られる。
IATAのウィリー・ウォルシュ事務総長は「サプライチェーン(供給網)の問題が、収益とコスト、環境パフォーマンスの3つにのしかかる障害となり全ての航空会社をいら立たせている」とコメントした。一方で25年の供給数は1802機となり24年から44%増と大幅に回復する見通しだ。
脱炭素化で欠かせない再生航空燃料(SAF)の普及遅れも懸念材料だ。24年の世界のSAF生産量は13億リットルと23年(6億リットル)の2.2倍になったが、IATAが6月に公表した24年の見通し(19億リットル)には届かなかった。理由について「米国の主要な生産設備の稼働が25年上半期まで遅れたため」と説明する。
25年のSAF生産量は24年比2.1倍の27億リットルを見込むが、ジェット燃料の生産量全体の0.7%にとどまる。IATAは「SAFの生産量は増えているが、がっかりするほど遅い」とする。
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