日産自動車は11日、最高財務責任者(CFO)や海外子会社トップを交代させる役員人事を発表した。業績低迷を受けて役員体制を改め、構造改革を急ぐ。
発令は2025年1月1日付。スティーブン・マーCFOは中国事業の統括責任者に異動し、後任は北米日産のジェレミー・パパン社長が就く。北米日産社長には、日産出身で欧米自動車大手「ステランティス」幹部を務めたクリスチャン・ムニエ氏を起用。チーフブランド&カスタマーオフィサー(CBCO)で日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)事業の統括責任者を兼務していた星野朝子氏は兼務を解き、中国事業責任者の山崎庄平氏が日本とASEANを統括する。
内田誠社長は「会社を再び軌道に戻すために必要とされる経験や緊急性を鑑みた。今後も成長に焦点を当て、持続可能な収益を確保するために、取り組みを着実に実行していく」との談話を発表した。
日産は主戦場の北米や中国での販売が振るわず業績が低迷。11月に発表した24年9月中間連結決算では、最終(当期)利益が前年同期比93・5%減の192億円と大きく落ち込んだ。
内田社長は決算発表の記者会見で、26年度までに全従業員の7%に当たる9000人の人員削減や生産能力を2割減らすリストラ策を発表。加えて、25年1月と4月に経営体制を刷新する考えを示した。
今回の役員人事は経営体制見直しの第1弾で構造改革を内外にアピールする狙いとみられるが、顔ぶれの刷新感は乏しく、具体的な人員削減の対象地域などは明らかになっていない。「売れる車がない」という不振の根本原因を解消する新たな手立ても打ち出せておらず、業績回復への道筋は見通せていない。【秋丸生帆】
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