大手4社は13日、金融庁に業務改善命令を受けた後の改善状況を報告した

大手損害保険4社は13日、企業向け保険のカルテル問題で2023年末に業務改善命令を受けた後の改善状況を金融庁に報告した。東京海上日動火災保険と損害保険ジャパンは企業や代理店への不適切な営業協力の9割超を解消した。ただ、自動車保険の販売で特定の損保を推奨する慣行の見直しは進んでおらず、不正の再発を防ぐ体制作りは道半ばだ。

昨年発覚したカルテルや旧ビッグモーターによる保険金の水増し請求では、損保の企業や代理店への過度の営業協力がゆがんだ関係を作る一因になった。自動車の購入台数といった営業協力の度合いに応じて取引する損保を決める代理店も多かったと指摘されており、大手各社は業務改善計画の中で健全な競争をゆがめる便宜供与をなくす方針を打ち出していた。

各社は今年に入って実際に営業協力の解消を申し入れ、東京海上日動では24年9月末時点で代理店の92.3%、企業など契約者の90.3%から合意を得た。損保ジャパンでも代理店などの93.7%と合意した。理解を得られていない代理店とは今後も対話を続けるという。

三井住友海上火災保険は保険のシェアを獲得することを目的とした商品やサービスの購入に応じない方針を代理店や企業などの契約者に通知し、すべて解消したとみられる。あいおいニッセイ同和損害保険は営業部支店から本社へ対応方針の確認など相談があった営業協力のうち、91.4%が解消したという。

政策保有株式の売却や代理店への社員の出向の取りやめなども進展がみられた。

一方、自動車ディーラーなどの代理店が保険会社を指定し、特定の自動車保険を勧める「テリトリー制度」については今回の改善計画書でも抜本的な見直しに触れなかった。テリトリー制度は大量の情報漏洩を招く一因になったとされる。

損保が出向者を引き揚げるなかでテリトリー制度がなくなると、代理店は多くの保険商品を的確に説明する高度な能力が求められることになる。現場で混乱が生じる恐れがあり、代理店からの反発も強いことが、損保が見直しに消極的な理由とみられる。

テリトリー制の存否は代理店側の判断に負う部分もあるが、顧客の選択肢を狭める不利益もある。約束した営業協力の解消が今後も続くかも含めて、損保は不正再発防止の努力を今後も続ける必要がある。

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