「業務スーパー」を展開する神戸物産は13日、2025年10月期の連結純利益が前期比12%増の240億円となり、2期連続で過去最高益を更新する見通しだと発表した。食品値上げが続くなか、独自のプライベートブランド(PB)商品で節約志向の消費者を取り込み、新規出店が成長をけん引する。
売上高は3%増の5250億円、営業利益は10%増の377億円といずれも過去最高を更新する見通し。主力の業務スーパー事業ではフランチャイズチェーン(FC)の新規出店が寄与する。前期末の店舗数は1084店だが、うち直営店は4店のみだ。神戸物産はFC店に食材を卸し、自ら生産するPB商品を販売する。今期は期中に34店増え、期末の店舗数は1118店になる見通しだ。
業務スーパーの売り上げの3分の1を占める独自のPBがSNSやテレビ番組で多く取り上げられたこともあり、ここ数年、相対的な割安感から既存店売り上げも大きく伸びていたが、状況は変化しつつある。関東や関西などのFC既存店への月次出荷実績をみると、前期の上半期には前年実績から1割増になる月もあったが、9月と10月は1〜2%増にとどまった。
13日にオンラインで記者会見した沼田博和社長は既存店向け出荷について、「前期の上半期は客数増とインフレの影響が半々くらいの印象だったが、徐々に新規顧客の流入が落ち着いてきた」と語った。今期の既存店向け出荷は「あまり客数増を見込まない」とした。今期の会社側の純利益予想は、事前の市場予想平均(QUICKコンセンサス)の269億円(12月9日時点、10社)を1割ほど下回った。
業務スーパーのPBには輸入品も多く、円安が一服してきたことは仕入れコストの低減などにつながる。沼田社長はかねて、円高傾向になれば一部商品で戦略的な値下げをする方針を示してきた。今秋には期間限定で冷凍うどんを5玉100円(税抜き)で販売するなど、集客増への取り組みを進める。
同日に発表した24年10月期の連結決算は純利益が前の期に比べ4%増の214億円だった。売上高は10%増の5078億円、営業利益は12%増の343億円だった。
23年12月に策定した中期経営計画の一部も上方修正した。最終年度となる26年10月期の営業利益目標を今期に前倒しで達成する見通しになったためで、営業利益は従来目標の370億円から410億円に、売上高は5430億円から5620億円へとそれぞれ引き上げた。
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