三菱UFJ銀行は16日午後、元行員が貸金庫から顧客の現金などを窃盗していた問題で記者会見を開いた。半沢淳一頭取は会見の冒頭で「ご迷惑、ご心配をおかけしたことを心よりおわび申し上げる」と陳謝。「信頼・信用のうえに成り立つ銀行ビジネスの根幹を揺るがすものであり、信頼の回復に全行をあげて取り組む」と述べた。
元行員は支店の貸金庫や予備鍵の管理責任を負う立場を利用し、2020年4月から約4年半にわたる在籍期間に東京都内に練馬支店と玉川支店で現金などの窃盗を繰り返していた。被害に遭った顧客は約60人で、被害額は時価で十数億円程度にのぼる。
練馬、玉川の両支店における貸金庫の利用者を対象に電話などで金庫内の内容物を確認するよう求めたところ、数十人から被害の可能性があると申告があったという。両支店のほかに現時点で同様の被害は確認されていないという。
会見で経営責任について問われた半沢氏は「真因の分析や再発防止策の実行に取り組むことが最大の責任だ」とし、「自身を含めた役員の処分については責任を明確化するなかで検討したい」と話した。
金融庁は16日付で同行に対し、報告徴求命令を出した。今回の事案が起きた原因や再発防止策を説明するよう求めている。
同行は、元行員が貸金庫にある資産を盗んでいたと11月22日に公表してから初めて記者会見を開いた。半沢氏はこの時期に会見を開いたことについて「被害に遭った顧客に対する補償のプロセスが始まり、貸金庫を今後も安心してご利用いただける対応策の実施にめどがたったため」と説明した。
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