東北大学流体科学研究所などでつくる研究グループは、地下深くの岩石に加わる力(地殻応力)を測り、地熱発電の開発に必要な熱水や水蒸気の流れを的確につかむ測定法を開発した。従来の測定法と比べ、より深くかつ高温の地中での計測ができる。開発業者と検証を重ね、地熱開発への応用をめざす。
この研究は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託によるもので、地質調査や環境コンサルティングなどを手がける応用地質なども参加している。
採用した「二重ビットコアリング法」では、先端が2重の筒構造になっている掘削装置を用いる。地中にある岩石をくりぬき、取り出した際の膨張率を測ることで、どの方向にどの程度の地殻応力が加わっているかを割り出す。地殻応力を分析し、熱水・水蒸気が通りやすい岩石の割れ目の位置を特定する。
従来の測定法では、掘削装置の部品の制約などから利用できる範囲が深さ1000メートルやセ氏100度以下などとなっていた。新たな測定法は深さ2500メートルやセ氏250度の環境でも測定できるという。
地熱開発には多額の費用と時間がかかる。さらに熱水や水蒸気を掘り当てられないリスクも伴うことが参入障壁となっている。今回の研究を主導している東北大の伊藤高敏教授は「新技術を応用できれば熱水を発見する確率が上がり、余計な掘削が減る。そのことで開発コストを大幅に下げられる」と説明している。
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