日本生命保険は18日、朝日智司副社長(61)が2025年4月1日付で社長に昇格し、清水博社長(63)は会長に就くトップ人事を正式発表した。社長交代は7年ぶりとなる。事業の多角化を進めると同時に、国内保険事業の経験が豊かな朝日氏を起用し、国内最大手の座をより盤石にする。
経団連次期会長に起用される見込みの筒井義信会長(70)は、25年7月の定時総代会を経て特別顧問に就任する予定。
朝日氏は大阪府出身で、1987年入社。営業企画部長や東京中央総合支社長のほか、経営企画や人事部門も歩んできた。この日の記者会見で、朝日氏は「業界のリーダーであり続けてきたバトンを受け継ぎ、さらなる成長と業界全体の発展に心血を注ぎたい」と抱負を語った。
18年に社長に就任した清水氏は、「安心の多面体」をスローガンに掲げ、国内保険に偏っていた事業領域の拡大に注力してきた。とりわけ24年度は課題だった海外事業を加速。5月に米生保への5950億円の出資、12月には国内保険会社で過去最大となる約1兆2000億円での米豪系生保買収と、立て続けに大型投資を発表した。
一方で、清水氏は「『多面体』を広げていくには中心がしっかりしていないといけない。その中心は国内生命保険事業だ」と強調。営業経験が豊富な朝日氏を後任に選び、人口減少で市場の縮小が見込まれる国内保険事業についても強化していく構えを鮮明にした。
朝日氏は、自身を「生命保険の入り口から出口までを経験し、全体感を持っているのが強みだ」と分析。健康や資産形成への人々の関心は広がっているとして「ニーズに着実に応えていけば(国内保険の)市場はまだ十分成長する」と見通しを語った。【井口彩】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。