高品質の鉄鉱石の確保に向け、日鉄は約1300億円、双日は約800億円をそれぞれ開発投資に充てる

日本製鉄と双日は19日、カナダの鉄鉱石鉱山の権益を取得すると発表した。カナダの鉄鉱石開発企業チャンピオン・アイアンと合弁会社を設立する。同社は脱炭素対策の電炉や水素を使った製鉄に使いやすい高品質の鉄鉱石を産出する。事業化調査(FS)の後、日鉄は約1300億円、双日は約800億円をそれぞれ開発投資に充てる。

ニューファンドランド・ラブラドール州にあるカミスティアチュセット鉱山の権益を取得する。鉱山開発・操業の合弁会社をチャンピオン社が51%、日鉄が30%、双日が19%を出資して2025年6月までに設立する。日鉄の出資額は1億5千万カナダドル(約162億円)。双日の出資額は約100億円とみられる。

鉄分含有率は67.5%以上を見込む。高品質な鉄鉱石は世界の鉄鉱石供給量の5%にとどまり希少性が高い。石炭に代わって水素で酸素を取り除いた「還元鉄」をつくるには高品質な鉄鉱石の方が使いやすい。日鉄は「将来的に品質の良い鉄鉱石の需給は逼迫する可能性がある」と説明している。

日鉄は今後、還元鉄の製造プロセスや還元鉄を原料に使う大型電炉への設備投資を本格的に進める予定で、先立って原料確保に動いた。2年のFS後に4年かけて開発を進める。生産開始は30年ごろを見込む。

日鉄は近年原料権益への投資を進めており、23年と24年8月にそれぞれカナダとオーストラリアの原料炭権益の獲得を発表していた。鉄鉱石権益の獲得は約50年ぶり。

【関連記事】

  • ・伊藤忠、ブラジル鉄鉱石大手に1200億円を追加投資
  • ・鉄鋼に電炉転換の決断迫る コスト・品質・電力調達課題

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。