24年の猫の飼育頭数は915万頭だった(画像はイメージ)

ペットフード協会(東京・千代田)は20日、2024年の全国犬猫飼育実態調査を発表した。猫の飼育頭数は前年から8.6万増の約915万頭だった半面、犬の飼育頭数は4.8万減の約679万頭と、飼育頭数の差が拡大した。ペット市場は拡大しているものの、ペットフードの原料価格や生体価格の高騰を受けて、全体の飼育頭数は長期的には減少傾向にある。

調査によると、1カ月あたりの支出総額の平均は犬で前年比横ばいの1万6198円、猫で8%上昇の1万1004円だった。ペットの生体価格も上昇しており、同協会会長の児玉博充氏は「(経済的な理由から)ペットを飼えない格差が日本で広がっている」と話す。

災害リスクに対する対応の遅れも浮き彫りになった。災害時の備えとして、ペットフードの備蓄などを実施している割合は全体の3~4割にとどまった。最寄りの避難所の認知率なども低く、十分な準備が進んでいないのが現状だ。

一方で金額ベースでのペット市場は拡大している。富士経済の調査によると、ペットフードや動物病院での診断料などを含む「ペット関連市場」は23年で前年比5%増の1兆5343億円だった。26年には23年比で4%増の1兆5921億円となる見込みだ。

ペット事業を強化する例もある。「消臭力」などを展開するエステーは、花王から買収した猫用トイレ関連ブランド「ニャンとも清潔トイレ」を6月に発売した。27年3月期にはペットケア事業で50億円の売上高を目指している。

ペットの高齢化による医療費の増大やペットフードの高機能化で1頭あたりの支出額は増えている。飼育頭数が減る中で、市場では高単価の商品などに注力する傾向が強まっている。

【関連記事】

  • ・ネコ飼育費23年は9.9%増 月8005円、商品高騰が影響
  • ・犬の寿命、40年で1.5倍以上 世界一の長寿犬は30歳超

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。