1ドル=155円台となった円相場を示すモニター=東京都中央区で2024年4月29日午後2時18分、渡部直樹撮影

 円安から一転、急激な円高へ。ここ数日、外国為替市場の円相場が乱高下しています。「為替介入か」との観測が広がっていますが、そもそも為替介入って? どんな効果があるの? 仕組みや狙いを探りました。

 Q 「為替(かわせ)介入(かいにゅう)があったのでは」ってニュースでよく聞くけど、どういうこと?

 A ある国の通貨(つうか)を別の国の通貨に替える「外国為替市場」で最近、金利が高く、運用すると利益が出やすい米国のドルを買う動きが盛んです。反対に金利が低い日本の円は売られ、価値が下がる「円安(えんやす)」が急速に進んでいます。

 Q 円安が進むとどうなるの?

 A 輸入に多くのお金(円)が必要になり、物価も上がって生活の負担が増えます。4月29日には一時、34年ぶりとなる1ドル=160円まで円安が進行しました。ところがその数時間後、一気に154円台まで円高(えんだか)が進んだのです。1日で5円以上も値が動くのは異例(いれい)。市場では「行き過ぎた円安をただそうと政府が大規模な取引をしたのでは」とみられています。この大規模な取引のことを「為替介入」といいます。

 Q 具体的にはどうやるの?

 A 財務相が日銀に指示します。円安を抑える場合、「外貨準備」として国が蓄(たくわ)えているドル預金や米国の国債(国の借金)を売り、数兆円単位で円を買う「ドル売り・円買い介入」をします。逆に円高になりすぎた際は、国債の発行で調達した円を売ってドルを買います。他国と足並みをそろえて行う「協調(きょうちょう)介入」もあります。

 Q 円安は止まるのかな?

 A 政府・日銀は2022年9~10月にも3回ドル売り・円買い介入をしましたが、効果は一時的で、その後も円安は進みました。為替介入には、投資家がもうけを狙って短期間で売買を繰り返す「投機(とうき)」に対抗(たいこう)する意味合いもありますが、外貨準備には限度があり、相手国の理解も必要なので、いつでも何度でもできるわけではありません。米国の物価上昇が収まって金利が引き下げに向かうか、日本の金利がさらに上向くまで、円安・ドル高の傾向(けいこう)は続きそうです。

回答・加藤美穂子(経済部)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。