日本郵便は23日、損害賠償を求めてヤマト運輸を提訴したと発表した。小型薄型荷物の配達委託が予定通りに進まず、協業準備にかかった費用などの賠償を求める。両社による水面下での交渉は事実上決裂した。

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日本郵便が同日、東京地裁に提訴した。配送網の見直しにかかった費用や配達受託で得るはずだった利益の補塡など120億円を求める。

ヤマトは11月中旬、2025年1月〜26年3月に小型荷物の配達委託をゼロにしたいと申し入れた。日本郵便は合意に反するとして、中断期間中の補塡などを求めた。ヤマト側は日本郵便が示した条件に応じない意向を示し、協議は難航していた。

ヤマトは18日に停止交渉を認め配達の遅れを理由に挙げた。日本郵便の親会社である日本郵政は同日の定例記者会見で、荷物の送達速度に違いが出ることは合意済みだったと反論していた。

日本郵便はヤマトの対応を受け、両社間での交渉で折り合いを付けるのは難しいと判断した。今後は訴訟手続きに進み、司法の場での解決を図る。並行してヤマト側との水面下での接触も続く見通しだ。

両社の交渉が決裂したことで、25年2月の完全移行を目指していた小型荷物の配達委託の日程はいったん白紙に戻る見通しだ。既に移管を終えたメール便の配達委託は両社とも継続する意向を示す。

両社の親会社の日本郵政とヤマトホールディングスは23年6月にメール便と小型薄型荷物の配達を日本郵便に全量委託すると合意していた。ヤマトは採算が悪い事業を切り離して中核の宅配事業に経営資源を集中し、日本郵便はヤマトからの荷物を取り込み配達の積載効率を高める狙いがあった。

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