住友化学は大型液晶テレビ向けの偏光板事業で中国から撤退する

住友化学は24日、中国での大型液晶テレビ向けの偏光板事業から撤退すると発表した。同事業を手掛ける中国の子会社2社を現地企業に譲渡する。譲渡額は非開示。5月には液晶パネルの製造工程で使う薬液事業も売却しており、中国国内での液晶向け部材の生産はなくなる。偏光板では有機ELや車載向けに注力する。

偏光板は液晶パネルの主要部材の1つで、光を調整することで映像を鮮明にする役割を持つ。大型液晶テレビ向けの偏光板を生産する北京市と無錫市の子会社を現地の偏光板メーカーに譲渡する。譲渡は2025年3月末に完了する予定で、25年3月期の業績予想には織り込み済みとしている。

大型の偏光板では日本勢が一時期高いシェアをほこっていたが、中国勢の台頭で競争が激化しシェアでも落ち込んでいた。採算は悪化し、売却する無錫市の子会社も営業赤字が続いていた。これまでも日本や韓国などの拠点で大型液晶向けのライン停止や、有機EL向けへの転換を進めてきたが、構造改革の一環として中国から撤退する。

住友化学は業績悪化を受け事業の売却や撤退を進めている。25年3月までに事業売却により1850億円の現金創出を目標に掲げており、現時点で8割程度にめどがついているという。

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