医療データを手掛けるJMDCは25日、670万人分の健康診断データから「健康経営」に取り組む企業の成果を公表した。従業員の健康増進に取り組むことで、社員の生活習慣病の割合の低下などで効果が出たほか、男性の場合は医療費が減少していることもデータとして初めて明らかになった。JMDCは今回の結果をもとに、支援サービスの採用拡大を狙う。
「データを分析すると、健康経営に取り組んでいる企業ほど健康診断の検査値のほとんどの項目で良い結果が出ている」。25日、オンラインで開いたセミナーでは、JMDCウェルビーイング推進部部長の野本有香氏が調査結果について説明した。
JMDCは企業の健康保険組合向けに、組合員である社員の健康診断のデータを分析して、健保の経営改善を支援するサービスを提供している。今回、各健保組合から許諾の取れた670万人分の健診データを解析した。
対象は「健康経営銘柄」に選定された企業17社(約5万8000人)と大規模企業の上位500社として選定された「ホワイト500」の企業272社(約75万人)、その他の企業の約593万人。経済産業省の健康経営銘柄やホワイト500に選定された企業は、未指定の企業と比較すると、腹囲や体格指数(BMI)、血糖値の指標となる「HbA1c」や空腹時血糖などの項目が良好なことが分かった。喫煙率や朝食の習慣でも差が出た。
解析した結果は「JMDC健康経営KPIガイドブック」として企業や健保向けに販売する。JMDCの野本氏は「これまで、健康経営銘柄やホワイト500などの企業の健康度の分析は公開されていなかった」と説明する。健康経営をしている企業の実際の取り組みを紹介し、健康経営を目指す企業の支援サービス強化につなげる。
JMDCは2000万人分の健康診断データを保有しており、健保向けの支援サービスに強みを持つ。同社が提供する健康管理アプリ「Pep Up(ペップアップ)」は、企業の健保組合での利用が広がっているが、今後は企業との直接的な連携も進める。
健保組合だけでなく企業側とも連携することで、労働時間やストレスチェックなど、より取得できるサービスが広がるとみる。企業側に直接働きかけることでの社員の生活習慣病予防や将来の病気のリスクの予想など幅広いサービスの展開を目指す。
企業の健康経営に対するサービスを展開する企業には第一生命ホールディングス傘下で福利厚生代行企業のベネフィット・ワンや医療情報提供サイトのエムスリーといった競合企業もいる。JMDCも健康経営向けのサービスを拡充し、新たな成長につなげる考えだ。
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