経済産業省は25日、次世代半導体の国産化を目指す「ラピダス」の量産を支援するための法整備に向けた議論を開始した。政府による1000億円の出資を含む金融支援や財源確保を可能にするために必要な法改正を目指す。
経産省が設置した有識者会議の初会合が同日開催され、同省は会議の場で制度設計の案を示した。
案では、まず支援対象の要件を高性能の製品に限定する。その上で、有識者会議の意見を踏まえて経産相が事業者を選定し、必要な金融支援を実施することとした。計画の実施状況についても定期報告を求め、予算執行を事後評価する仕組みを作る。
金融支援は、政府による資金・現物出資▽劣後融資の実施・劣後債の引き受け▽社債の引き受け・資金の借り入れに係る債務保証▽利子補給金の支給――を想定する。
政府は2025年度の予算案で、人工知能(AI)・次世代半導体分野に約3300億円を計上することを決めたが、このうちラピダスへの出資金として1000億円を充てる方針を表明した。複数の民間企業が出資を計画している総額と同程度になる見通し。
出資も含めた金融支援の実施主体は、経産省が所管する独立行政法人「情報処理推進機構」(IPA)が担う。これを可能にするため、IPAの業務を規定する法律の改正が必要になる。政府はラピダスを念頭に、同分野への支援に30年度までに10兆円以上の公的支援を実施する方針を示しており、財源確保のためのつなぎ国債の発行などに必要な法改正も進める。
経産省は有識者会議での議論を踏まえて法案の骨格案を作成した上で、25年の通常国会に提出する方針。【町野幸】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。