【ニューヨーク=弓真名】米格安航空会社(LCC)大手のスピリット航空が6日発表した2024年1〜3月期決算は最終損益が約1億4260万ドル(約220億円)の赤字だった。前年同期(約1億ドルの赤字)から赤字幅が広がった。主力の国内路線で旅行需要が伸び悩んだほか、競争が激化するなかで値切りを迫られたことで採算が悪化した。
売上高は前年同期比6%減の約12億6550万ドルだった。米国内の旅行需要が想定よりも弱かった。国内と中南米で運航本数が需要を上回っており、全体の単価を引き下げる要因になった。
スピリット幹部は6日の決算説明会で「3月前半の収益は価格競争の影響があり、予想していたよりも荒れた」とコメントした。スピリットやフロンティア航空のような「求めやすさ」を強みにする航空会社は、主力の国内線やレジャー旅行向けの路線での価格競争が激化するなかで黒字転換に苦戦している。
運航実績の指標である「有効座席マイルあたり総収入(TRASM)」が前年同期と比べて8%減るなど、稼ぐ力に弱まりが見える。
運航する機種でエンジントラブルがあったことも経営環境の悪化につながっている。23年7月、欧州エアバスの小型機「A320neo」シリーズに搭載されているエンジンに不具合が見つかった。これをうけスピリットは今年4月にエアバスとの契約を変更し、25年から26年末にかけて予定していた機体の納入時期を延期した。
スピリットが最終赤字となるのは10四半期連続となり、経営の立て直しが急務だ。6日には機体の納入遅延に対応するため、今年9月からおよそ260人のパイロットに一時休暇を与えることを発表した。これまで24年末までに1億ドルのコスト削減を進める計画も示している。
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