大王製紙はCNF複合樹脂を年間2000トン生産できる商用プラントを設置する

大王製紙は8日、植物由来の新素材「セルロースナノファイバー(CNF)」を含んだ複合樹脂の商用プラントを2025年度に稼働すると発表した。約40億円を投じて同社の三島工場(愛媛県四国中央市)に設備を整え、生産能力を従来比20倍の年2000トンに引き上げる。量産によるコスト低減で自動車向け製品などへの採用を見込む。

量産するのはCNF複合樹脂の「ELLEX-R67」。素材のうちCNFが67%含まれたペレットで、他の樹脂と混ぜて成形する。22年に三島工場でパイロットプラントを稼働しており、これまでの生産能力は最大で年間100トンだった。

CNFは軽量で高い強度を実現できる。CNF複合樹脂は自動車分野や家電製品への用途展開が期待されている。ただ、従来の素材と比較してコストが高く、採用されにくい課題があった。量産化で製造コストを抑え、供給を安定化することで幅広い製品への採用を狙う。

従来のCNFは性質の違いから樹脂と混ざりにくく、品質低下を招く問題もあった。ELLEX-R67ではセルロースをあらかじめ尿素で前処理することにより、ほかの樹脂となじみやすくした。量産に向けて品質とコストの両立ができる技術的なメドが立ったという。

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