東レは2024年3月期の純利益を下方修正した

東レは8日、2024年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前の期比70%減の219億円になったと発表した。2月にも樹脂や繊維の販売低迷などで下方修正していたが、さらに361億円引き下げ減益幅が広がる。風力発電所向けの需要が低迷した炭素繊維複合材料などで減損損失を計上し、2期連続の減益となる。

汎用の炭素繊維は風力発電設備の翼部分に使われている。欧州を中心に利上げで資金調達が厳しくなり風力発電所の新規着工が伸び悩んだ影響で需要が落ち込んだ。14年に買収した炭素繊維メーカーの米ゾルテックののれんなどで減損損失192億円を計上する。

電気自動車(EV)向けのリチウム電池の主要部材の一つである「セパレーター」(絶縁材)事業でも83億円の減損損失を計上する。汎用品を生産している韓国の設備が対象で、同設備は22年3月期にも減損損失を計上している。セパレーターは中韓勢の台頭で価格競争が厳しくなっており収益性が低下した。2事業のほか米国のフィルム子会社などでも減損を計上する。

売上高にあたる売上収益は1%減の2兆4646億円で従来予想から54億円、本業のもうけを示す事業利益は7%増の1026億円と同24億円引き下げた。

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