アルプスアルパインは9日、2025年3月期の連結最終損益が300億円の黒字(前期は298億円の赤字)になる見通しだと発表した。海外拠点の再編に伴い3000人規模の人員削減を実施する。グループ会社のアルプス物流の株式の一部売却で特別利益に300億円を計上する。
売却益は成長投資と株主還元に振り向ける。25年3月期の年間配当は1株60円(前期は30円)を予定する。
タッチパネル用フィルムやエアバッグ関連部品などの低収益事業の撤退を進める。海外3拠点を閉鎖・再編して人員削減を進める。削減するのは海外が中心で3000人を想定する。
価格競争が厳しいスマートフォン部品の依存率を下げて車載用やゲーム機向けへのシフトを進める。車載機器事業では先進的な車内空間「デジタルキャビン」への高付加価値製品を増やす。
一連の構造改革により、25年3月期のセンサー・コミュニケーション事業の営業損益は前期の14億円の赤字からゼロに、モジュール・システム事業は85億円の黒字(前期は11億円の赤字)を見込む。
アルプス物流の株式は米投資ファンドKKR傘下のロジスティードに売却する。アルプスアルの保有比率は48.8%から20%となる。小平哲・取締役専務執行役員は「アルプス物流の企業価値を上げつつ、アルプスアルの経済価値を高める2つの達成シナリオが描けたため」と説明した。
構造改革によって28年3月期を最終年度とする第3次中期経営計画でPBR(株価純資産倍率)1倍超を目指す方針も示した。泉英男社長は「中期経営計画を注視し、不退転の決意で膿(うみ)を出し切る」と話した。
同日発表した24年3月期の連結決算は、売上高が前の期比3%増の9640億円、最終損益は298億円の赤字(前の期は114億円の黒字)だった。スマートフォン向け部品での価格競争が激しく、車載機器の新製品の立ち上げ不振も響いた。
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