ベルーナドームでの始球式に臨んだ滋賀県の三日月知事(13日、埼玉県所沢市)

滋賀県は13日、プロ野球・埼玉西武ライオンズ主催試合のスポンサーになり、三日月大造知事が始球式に登板した。滋賀県を走る近江鉄道が所属する西武グループと連携し、大消費地の首都圏で県の知名度を高める狙い。三日月氏は始球式後、経営不振の近江鉄道の再建で西武側と協力し、ライオンズ戦の県内誘致も目指すと明言した。

スポンサーになったのは埼玉県所沢市のベルーナドームでの福岡ソフトバンクホークス戦で、「滋賀県スペシャルデー」と銘打った。三日月氏は滋賀出身の山田陽翔投手と同じ背番号36のライオンズのユニホーム姿で振りかぶり、投球はノーバウンドで捕手のミットに収まった。

三日月氏は始球式の前、ライオンズ側に滋賀県の名産、近江牛の肉を贈呈した。同県は球場近くに観光物産のブースを特設した。クイズ大会や子ども向けの抽選会に多数の親子連れなどが立ち寄っていた。

都道府県の知事が始球式で「越境」する例はまれだ。三日月氏が日本野球機構(NPB)に所属するプロ野球チームの始球式を務めたのは初めて。会見で同氏は「(ライオンズの)試合を滋賀県でも観戦できるようにしたい」と話した。

ベルーナドーム近くに設けられた滋賀県特設ブースに立ち寄った親子連れ(13日、埼玉県所沢市)

近江鉄道は1日付で負担が大きな線路などの施設(下部)を地元自治体に譲渡し、運行(上部)に専念する上下分離方式に移行。移行は国土交通省が後押しした。6日の滋賀県での式典には西武グループの持ち株会社、西武ホールディングスの後藤高志会長兼最高経営責任者(CEO)が駆けつけ、グループで近江鉄道を支えると強調した。

滋賀、埼玉の両県は自治体としても、2023年11月に公開された映画「翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜」のヒットを機に交流を深めている。

滋賀は豊かな歴史を背景にしながら、隣接する京都の陰に隠れ、関西でも目立たない県だといわれてきた。三日月氏は自然や文化を前面に押し出す独自のブランディングを進めている。東京・日本橋に県のアンテナショップを設け、首都圏での知名度アップを模索している。今回の滋賀県スペシャルデーをモデルの一つにする考えだ。

(加賀谷和樹)

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