JR九州は在宅勤務の浸透などで鉄道旅客の回復が頭打ちになるとみている(JR博多駅)

JR九州が鉄道運賃の引き上げを検討していることが13日、分かった。2024年内にも国土交通省に申請する方針。現在値上げ幅や時期を議論しており、同社幹部は「可能な限り早く」申請したい意向を明らかにした。利用客の減少や鉄道施設の老朽化が進むなか、設備投資や人件費、災害復旧費などの原資を確保する。

JR九州の値上げは消費税増税時を除くと1996年以来となる。鉄道運賃の値上げには国交省の認可が必要で、減価償却費や人件費といったコストに適正な利潤を上乗せした「総括原価」を基に決める。

同省は4月に総括原価の算定方法を見直し、耐震化などの設備投資や人材確保に向けた賃金改善に必要な費用を運賃に反映しやすくした。JR各社ではJR北海道がすでに25年4月に運賃を平均約8%値上げする方針を示している。

JR九州の23年度の鉄道旅客運輸収入は前年度比19%増の1450億円と新型コロナウイルス禍から回復が進んだが、18年度(1514億円)の96%にとどまった。同社は在宅勤務の浸透などで回復が頭打ちになるとみており、古宮洋二社長は9日の記者会見で「人数ベースでは(18年度の)94%程度。この人数でいかに鉄道を運営していくか中長期的に考えないといけない」と語っていた。

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