旭化成は川崎製造所(川崎市)にある水素製造の実証設備を本格稼働させた

旭化成は14日、水を電気分解して水素をつくる実証設備を稼働させたと発表した。川崎製造所(川崎市)内に4つの電解槽を並べ、複数モジュールで構成する。再生可能エネルギーを使い製造工程で二酸化炭素(CO2)を排出しない「グリーン水素」の製造をにらみ、電力供給の変動などを想定した設計とした。

旭化成は水素製造のためのアルカリ水電解システムや製造装置を開発している。実証設備は3月から稼働しており、5月13日に開所式を開いた。福島県でも進めている実証実験のデータと組み合わせ、より大規模な製造設備の開発につなげる。

今回の設備では0.8メガワットの電解槽モジュールを4つ並べた。複数のモジュールにすることで一部がトラブルで停止した場合も運転を継続できる。再エネによる電力供給の変動にも対応できる。今回は系統電力を使うが再エネ由来の変動する電力供給の状況も再現できる設計にし、コスト低減などに向けた適切な制御や運用を調べる。

水素関連では福島県浪江町で2020年から大型の出力10メガワットの装置での水素の製造、供給の実証実験を進めている。今回の設備で得られるモジュールを並列させて運用する場合のデータや制御技術と組み合わせ、将来的に大規模な100メガワット超級の設備設計につなげる考えだ。

グリーン水素は脱炭素に向け注目が高まっている。旭化成は25年からアルカリ水電解装置の受注を始める予定で、30年ごろに水素関連で1000億円規模の売り上げを目指す。

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