M&A(合併・買収)などを目的に株式を大量取得する場合のTOB(株式公開買い付け)実施義務を拡大する改正金融商品取引法が15日の参院本会議で可決、成立した。買い付け後の所有割合が議決権の「3分の1を超える場合」から「30%を超える場合」に基準を下げて適用対象を拡大し、取引の透明性向上につなげる。

TOBは、企業の支配権に影響を及ぼすような株式取引を規制する制度で、大幅な見直しは2006年以来。

企業が合併などの重要事項を決める特別決議には株主総会で3分の2以上の賛成が必要となる。3分の1超の株式を保有すれば、特別決議を阻止して企業経営に大きな影響力を行使できる。こうした大量買い付けが非公開で行われれば一般株主が不利益を被りかねないため、3分の1超の取得にTOBを義務付けてきた。

ただ、すべての株主が議決権を行使するケースはまれで、実際には30%程度の保有で特別決議を否決できる場合も多い。このため、実態に合わせて対象を拡大する。30%を基準とする例が多い海外と水準をそろえる狙いもある。

改正金融商品取引法が可決、成立した参院本会議=15日午前、国会内

参院本会議で改正金融商品取引法が可決、成立し、一礼する鈴木俊一財務相=15日午前、国会内

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