エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)は15日、2025年3月期の連結純利益が前期比19%増の260億円になる見通しだと発表した。3期連続の最高益更新を見込む。新型コロナウイルス禍が一服し、インバウンド(訪日外国人)など客足が回復している。子会社の関西フードマーケットを株式交換で完全子会社化することも発表した。

売上高は6%増の7000億円、営業利益は1%増の265億円を見込む。円安を背景に訪日客消費が活発なほか、海外旅行を敬遠する人の国内消費も好調に推移する。衣料や宝飾など高級品を中心に販売が増える。「関西スーパー」や「阪急オアシス」などの食品スーパーを展開する事業も堅調に推移するとみる。

H2Oは関西フード株を64.89%保有する。残りの35.11%を保有する一般株主から関西フード株をもらい受けるのと引き換えに、H2O株を譲渡する。交換比率は1株に対し1株となるが、交換の際には関西フードが株主に対して特別配当100円を支払うため、実質的な交換比率はH2Oの株式1株に対し、関西フードの株式が1.11株となる。

15日付で関西フードと株式交換契約を締結した。6月20日に開かれる関西フード株主総会での決議を経て7月31日に株式交換を実施する。関西フードは7月29日に上場廃止になる予定。

同日記者会見したH2Oの荒木直也社長は狙いについて「スーパーマーケット事業の改革を進めていくにあたり、機動的な経営判断をするため」と説明する。「上場維持に必要な人的コストも年々高まっており、コスト面でも効率化を図る」とも話した。

H2Oは中国浙江省寧波市の百貨店運営会社を5月20日に孫会社にする。荒木社長は「足元で中国の消費は停滞しているものの、いま先行投資をすれば環境が好転したときに飛躍できる。地域1番手の百貨店を狙える」と力を込めた。

24年3月期の連結決算は、純利益が前の期比34%増の219億円、売上高が5%増の6574億円だった。百貨店事業で訪日客向けの売上高は802億円と、過去最高だった19年3月期の406億円を大きく上回った。海外富裕層のさらなる囲い込みなどで24年3月期に261億円だった営業利益を27年3月期までに320億円、31年3月期に350億〜400億円に増やす計画も発表した。

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