北朝鮮による拉致被害者の即時一括帰国を求め、5月11日、都内で国民大集会が開かれた。2023年の国民大集会では、その2日後に、北朝鮮側が岸田首相の発言を受けた発信をしたこともあり、この日は金正恩委員長を意識した言葉が多く聞かれた。中でも、横田めぐみさんの母・早紀江さんは金正恩委員長に向けて「娘を返して」と声を振り絞った。
金正恩氏へ「お嬢様が突然、消え果てたら…」
横田めぐみさんの母・早紀江さんは、国民大集会の冒頭、こう宣言した。「私はきょう、金正恩氏にお願い致します」
この記事の画像(9枚)そして続けたのは、「共に人の親である」という心からの訴えだ。
「いつもかわいい女の子があなたの横にいらっしゃいますよね。私たちの子どもたちも、みんなあのようにかわいくて、大事に、大事に育ててきました」
軍事パレードやミサイル発射場など、様々な場面に娘を同行させている金正恩委員長。
早紀江さんは、「そのお嬢様が夕方に突然、消え果てたらどう思いますか?」と、1977年11月15日、新潟市の中学校からの帰り道に13歳で拉致された娘・めぐみさんに重ねて問うた。
娘を慈しみ、成長を祈り、大切に育ててきた思いは同じではないか、と。
弟・拓也さんも金正恩氏に向け発言
めぐみさんの弟で家族会代表の横田拓也さんも、金正恩委員長の耳に届くことを意識した発言をした。
「金正恩委員長に伝えます。今、私たちは歴史の転換点に立っています。あなたの代ではなく、過去の代で実行された人権問題・人道問題である拉致事件を解決し、両国が明るい未来を描くための鍵をあなたが持っています」
2023年は岸田首相の発言後すぐに動きが…
2023年の国民大集会では、岸田首相が「首脳会談の実現に向け自身直轄のハイレベル協議を行いたい」と、それまでよりも一歩踏み込んだ発言をした。
すると、そのわずか2日後、北朝鮮メディアが「日本が関係改善を模索しようとするなら、両国が会えない理由はない」とする外務次官の談話を発信。
2024年の国民大集会の内容も、金正恩委員長の元にいち早く伝えられていると考えられる。
岸田首相「国民の間にも差し迫った思い強まっている」
一方の岸田首相は2024年の挨拶で、「とりわけ拉致被害者ご家族がご高齢となる中で、日本国内では、国民の間にも差し迫った思いが強まっています」と、国民世論に触れる発言をした。
日本国民が拉致問題に厳しい目を持ち続けていることは、北朝鮮への圧力となる。
母・早紀江さん力の限り訴え…「お返しください」
この日も「自身の手で拉致問題を解決する」と話した岸田首相。
その言葉に望みを託す88歳の早紀江さんは、挨拶の最後、力の限り金正恩委員長に訴えた。
「どうか心を変えてください。そこに元気でいる皆さんを全部、親の元にお返しください。そして、あなたのお子さんもそんなことが絶対ないように、どこの国もみんな仲良く暮らしていけるように、心を入れ替えて頑張ってください。お願いを致します。心からお願いを致します。お返しください」
会場に響き渡った早紀江さんの声は、間違いなく北朝鮮に届いている。
(NST新潟総合テレビ)
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