台湾の新総統に就任する頼清徳(ライチントー)氏が、20日の就任演説で対中関係について、「卑下することも、おごることもなく、現状を維持する」などと述べることが政権関係者への取材でわかった。蔡英文(ツァイインウェン)現総統の路線を引き継ぎ、日米など民主主義陣営との協力を強化する方針を打ち出す見通しだ。

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 頼氏は中国から「独立派」として警戒され、就任演説での対中関係への言及が焦点となっている。関係者によると、演説のタイトルは「民主、平和、繁栄の台湾を築く」。頼氏はAIや半導体産業の発展に重点を置く方針を示したうえで「台湾はすでに世界経済と地域の安定に不可欠な存在になっている」と指摘。「両岸(中台)がともに平和と共栄を追求する」と訴えるという。

 蔡氏や頼氏は中国に対し、「前提条件のない対話」を呼びかけてきた。ただ、中国は中台は一つだとする「92年コンセンサス」の受け入れを対話の条件としている。

 頼氏は演説で、蔡氏が打ち出した「中台は互いに隷属しない」とする方針や、頼氏がこれまで訴えてきた防衛力の強化の方針にも触れる見通しだ。「台湾は民主陣営に立つ」として、価値観を共有する国々との関係強化も呼びかけるという。(高田正幸)

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