20日は各国や国際機関の代表が参加するハイレベル会議が開かれ、冒頭でインドネシアのジョコ大統領は「水不足は2050年までに世界の経済成長を最大6%妨げると推計されているほか、戦争の引き金や災害の原因にもなりうる」と述べ、危機感を示しました。

その上で「水は単なる自然の産物ではなく私たちの協力によって生み出されるものだ。水を守ることは私たちの連帯責任だ」と述べ、水資源の適切な管理に向けた協力を呼びかけました。

関係者などによりますとハイレベル会議では、発展途上国などでの清潔な水へのアクセスを支援する基金の設立や、国境をまたがる川や湖をめぐって国どうしの争いが起きるのを国際法に基づいて防ぐ外交の強化についても確認したとしています。

「世界水フォーラム」は21日も閣僚級の会議が行われ、各国が協力して取り組むべき課題などについて閣僚宣言をまとめる見込みです。

国連 “気候変動によって水不足が悪化”

世界の人口増加にともなって、水の需要が供給を上回る可能性があるとして、国連は水を限りある資源として有効活用するよう呼びかけています。

ユネスコ=国連教育科学文化機関がことし3月に発表した報告書によりますと、おととしには世界の人口のおよそ半分が、少なくとも一定期間深刻な水不足に直面したとしているほか、22億人が安全な飲み水を利用できずにいたとしています。

また国連は、気候変動によって水不足が悪化しているとして、2002年から2021年までの間に干ばつによって14億人以上が影響を受け、2万1000人近くが死亡したとしています。

一方、洪水のリスクにさらされる人も2050年までに現在の水準の12億人から16億人にまで増えるとされています。

さらに複数の国家にまたがる川や湖などの水資源が国どうしの対立の引き金になることもあります。

このうちナイル川をめぐっては、上流のエチオピアがダムを建設したことで、水源をナイル川に依存する下流のエジプトとスーダンが水不足につながると反発して対立が深まっています。

また紛争地で水の供給を止めることなどが「武器」として使われるおそれについても国連は警鐘を鳴らしています。

イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が続くガザ地区では、イスラエルが水道網の稼働に必要な燃料の供給を制限したことなどにより安全な飲み水の確保が困難になっていて、不衛生な水が原因で病気が広がるなど人道危機に拍車をかけています。

インドネシアでは「雨水を有効活用」試みも

インドネシアのジャワ島中部に住むスリ・ワユニンシさんは、雨季に洪水が相次ぐ一方で、乾季には水不足となることから、雨水を有効活用できないかと思うようになり、12年前から雨水を貯蔵できるタンクを自宅に設置し始めました。

東南アジアでは雨水をためて洗濯などに利用している地域もありますが、スリさんは地元の大学などの技術を参考にろ過装置を作って、飲み水や料理にも使えるようにしました。

さらにタンクの数も増やしていまでは2万リットルの水を貯蔵して近所の人たちに無料で提供しています。

また毎週「雨水学校」と名づけた講座を開き、インドネシア各地から集まった大学生や近所の人などに水資源の貴重さや雨水の活用方法について教えています。

スリさんは「世界水フォーラム」の関連イベントでもみずからの活動を紹介する展示を行う予定で、インドネシア国外にも活動を広げていきたいと期待しています。

スリさんは「私たちの身近にある水の危機の解決策を知る必要がある。水の問題を解決するために一緒に取り組めるあらゆる関係者と連携を深めたい」と話していました。

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