19日、パレスチナ自治区ガザ北部で食料配給の列に並ぶ住民ら(ゲッティ共同)

【エルサレム=共同】国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は21日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファにある支援物資の倉庫や配給拠点に近づけなくなり、避難民らへの食料配給を停止したと発表した。イスラエル軍がラファで進める限定的地上作戦が拡大し、安全を確保できないとしている。

支援活動の中心となるUNRWAの食料配給停止で、ガザの人道危機はさらに悪化しそうだ。世界食糧計画(WFP)も21日、中東メディアに対し、物資不足のためラファでの食料配給を停止したと明らかにした。「大量の物資搬送を再開しなければ、飢餓状態が広がる」と訴えた。

イスラエル軍は6日に開始した限定的地上作戦で支援物資搬送の大動脈、エジプト境界のラファ検問所を封鎖していた。

軍はガザ北部でも作戦を拡大。イスラム組織ハマスに拘束され、既に死亡したとみられるイスラエル人らの遺体が北部に残されているとみている。ハレビ参謀総長は21日、北部ジャバリヤを訪問し、兵士らに「軍は危険で複雑な作戦の準備を進めている」と語った。

ハマス系列メディアは21日、ガザ北部ベイトラヒヤのカマルアドワン病院が軍の攻撃を受け、治療を停止したと伝えた。乳児や患者の退避が始まったという。ガザ保健当局によると、戦闘開始後のガザ側死者は3万5647人。

イスラエルとハマスの仲介役、カタール政府は21日「(戦闘休止や人質解放を巡る)間接交渉に進展はない」と発表した。一方、ブリンケン米国務長官は議会公聴会で「合意の可能性はある」と強調した。

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