スペイン、ノルウェー、アイルランド3カ国がパレスチナの国家承認を表明したことを受け、イスラエル側が激しく反発している。ネタニヤフ首相は「テロを利する」と非難し、緊張が高まるなか、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファではイスラエル軍が作戦を拡大しているとみられる。
ネタニヤフ氏は22日、ビデオ演説で、昨年10月のイスラム組織ハマスの攻撃を踏まえ、パレスチナ国家ができれば、「何度もこのテロを繰り返そうとするだろう」と主張した。極右政党の党首で強硬派として知られるベングビール国家安全保障相は22日、エルサレムにあるユダヤ教で「神殿の丘」、イスラム教で「ハラム・シャリーフ」と呼ばれる聖地を訪問。この地の訪問をめぐっては、イスラエルとパレスチナの衝突の火種となってきた。
米国も国家承認に懐疑的な見方を示す。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は22日、ホワイトハウスでの記者会見で「一方的な承認が、現実の和平プロセスの進展や停戦にどう結びつくのか分からない」と述べ、将来の独立したパレスチナ国家とイスラエルが共存する「2国家解決」を達成する唯一の方法は「当事者間での直接交渉だ」と訴えた。
一方、ロイター通信は22日、目撃者の話として、イスラエル軍がラファ中心部の人口密集地区の付近まで戦車部隊を進軍させたと報じた。AFP通信によると、サリバン氏は22日、イスラエルの軍事作戦は「限定的で、市街地中心部で大規模な作戦は含まれていない」との見方を記者団に示したという。(ワシントン=下司佳代子、イスタンブール=根本晃)
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