【NQNニューヨーク=稲場三奈】23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比605ドル78セント安の3万9065ドル26セントで終えた。1日の下げ幅としては1年3カ月ぶりの大きさとなった。インフレ圧力の強さから、米連邦準備理事会(FRB)が利下げ転換に慎重になっているとの見方が売りにつながった。主要な株価指数が最高値圏にあるなかで利益確定の売りも出た。

朝発表の週間の米新規失業保険申請件数は21万5000件と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(22万件)を下回った。同日にS&Pグローバルが発表した5月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値は製造業が50.9、サービス業が54.8と、どちらも市場予想(50.0、51.5)以上だった。米経済の底堅さがインフレの沈静化を遅らせるとの受け止めは株式相場の重荷となった。

前日公表の4月30日〜5月1日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を受け、インフレ長期化を警戒するFRBが利下げ開始の判断に慎重になる可能性も意識された。米長期金利の上昇(債券価格の下落)も株式の相対的な割高感につながった。ダウ平均は前週に初めて4万ドル台に乗せており、高値警戒感からの利益確定の売りも出やすかった。「最高値更新が続いた後で、市場全体に調整ムードが広がっていた」(Bライリーのアート・ホーガン氏)との声があった。

ダウ平均の構成銘柄はほぼ全面安だった。ボーイングが一時7.7%安と大きく下げた。23日開催の投資家向け説明会で2024年12月期通期のフリーキャッシュフロー(純現金収支)がマイナスになる可能性を示したと伝わったことが嫌気された。その他にはインテルやマクドナルド、ジョンソン・エンド・ジョンソンも下げが目立った。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落し、前日比65.511ポイント安の1万6736.033(速報値)で終えた。テスラやメタプラットフォームズなどが下げた。一方、前日夕に好決算を発表したエヌビディアは大幅高だった。

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