<連載 ミャンマーの声>  ミャンマーの実権をクーデターで握った国軍に対抗する民主派と少数民族組織の代表らが今月、合同で訪日した。国軍が市民への弾圧を強め、人道支援を妨害していると非難。日本政府が民主派側に立ち、国軍への圧力などを通じて、事態打開に率先して関与するよう要望した。(北川成史)

◆劣勢の国軍は学校や病院に空爆

 訪日したのは民主派が樹立した「挙国一致政府(NUG)」のゾーウェーソー保健・教育相のほか、カレン、カレンニー、チンなどの少数民族組織の代表ら。15日には東京都内で、共同記者会見を開催した。

会見で肩を組むサライタラヘイ氏(右端)、ゾーウェーソー氏(その隣)ら=東京都内で

 「チン民族戦線」のサライタラヘイ幹事長は各組織に共通する目標として「軍を政治に関与させない」「連邦制民主主義国家への移行」などを挙げた。  ゾーウェーソー氏は、民主派や少数民族武装勢力が昨年10月以降、地上戦で攻勢に出ている状況を報告。「国土の65%を民主抵抗勢力が確保しているが、軍の残酷さは増している」と説明した。劣勢の国軍は空爆に頼り、学校や病院も破壊しているという。

◆ASEANの仲介「全く成果がない」

 さらに「軍は人道支援を武器として悪用している」と糾弾。国際機関の支援は軍政経由が多いため、民主派側の支配地域に行き渡らない。そこで、国境地帯の少数民族の組織などを利用して、隣国から軍政を経ずに支援する必要性を強調し、日本の力添えを求めた。

超党派議連の集会で話すゾーウェーソー氏

 訪日団は与野党の国会議員や在日ミャンマー人らとも交流した。少数民族の代表らは14日、高村正大外務政務官に面会し、事態打開に協力を要請した。  22日にはミャンマーの民主化を支援する超党派議連がゾーウェーソー氏を招き、集会を開いた。2021年2月のクーデター後、東南アジア諸国連合(ASEAN)が問題解決への仲介に動いているが、同氏は「全く成果がない」と切り捨てた。日本が他国と連携し、武器の禁輸などで国軍に圧力をかけ、事態打開にリーダーシップを発揮するよう期待。国会議員や外務省職員の前でこう問いかけた。「民衆か軍政か。どちら側に立つか問われている」 

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