ウクライナ北東部ハルキウ州の州都ハルキウの印刷会社で23日、ロシア軍によるミサイル攻撃があり、同州のシネフボウ知事によると、7人の死亡が確認された。SNSでは、同社を応援する動きが広がっている。
シネフボウ氏や警察、検察によると、印刷会社は23日午前10時半ごろ、地対空ミサイル「S300」によって攻撃を受け、大規模な火災が発生した。当時は約50人が勤務しており、亡くなった女性5人、男性1人、性別不明1人は全員が同社の従業員だった。他に17人が負傷したという。
この会社は「ファクトル印刷」。関連の出版社「ビバト」のSNS投稿によると、欧州最大級の総合印刷会社で、国内の大半の出版社が出す書籍の印刷を担っていた。警察は「ここに軍事施設はなく、軍人も1人もいない」という関係者の談話を伝えた。
駐日ウクライナ大使も写真投稿で応援
ビバトは「印刷会社を応援したい方は、同社で印刷された書籍の写真をSNSに投稿してください」と呼びかけ。すると、駐ウクライナ英国大使らから多くの写真が投稿され、英紙ガーディアンの記者も「ロシアのファシズムを勝たせてはならない」との文言とともに、自著「侵略」を手にした写真をX(旧ツイッター)に載せた。
コルスンスキー駐日ウクライナ大使も、外交などに関する3冊の著作が、今回攻撃にあった印刷会社で刷られたという。Xでは、自著の写真を投稿し、「(企業活動を)続けてくれ」と日本語で訴えた。
ゼレンスキー大統領は23日夜のビデオ演説で「彼らは生活のあらゆる場所を焼き尽くし、壊そうとしている」と指摘。印刷会社が攻撃を受けたのは、国境付近にあるロシア軍のミサイルシステムを破壊することができるような、射程の長い兵器がウクライナ側に足りないことが理由だと語った。(ロンドン=藤原学思)
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