イラン国営通信は25日、サウジアラビアのムハンマド皇太子がイランを訪問すると報じた。同氏がイラン側との電話協議で訪問を要請され、承諾したとしているが、具体的な時期には触れていない。電話協議に関するサウジ側の発表文も訪問には触れておらず、実現可能性は不透明だ。

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 訪問が実現すれば両国が昨年3月に外交関係を正常化して以来、初の首脳訪問になる。サウジはイスラエルとの関係正常化に向けた動きが報じられており、両国が手を結べば、イスラエルと敵対するイランにとっては痛手だ。このため、イランがサウジを取り込もうとムハンマド氏の訪問を要請した可能性もある。

 イラン政府の発表によると、モフベル暫定大統領が24日、ムハンマド氏と電話で協議。ムハンマド氏はヘリコプターの事故で死亡したライシ大統領への弔意を述べ、両国関係の発展に引き続き尽力すると強調した。ライシ師は生前、ムハンマド氏にイラン来訪を要請していたといい、モフベル氏がこの日再度打診したところ、ムハンマド氏が承諾したとしている。

 だが、イラン政府の発表は具体的な訪問時期に触れていない。サウジ外務省も電話協議について発表し、ムハンマド氏がライシ師への弔意を伝えたとしたが、イラン訪問には言及しなかった。

 サウジはイスラム教スンニ派、イランは同シーア派の大国を自任する。両国はイエメン内戦などをめぐって対立し、2016年にサウジが国内の反政府デモを主導したシーア派指導者を処刑したことなどから断交。昨年3月、中国の仲介で外交関係の正常化に合意した。(テヘラン=佐藤達弥)

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