世界保健機関(WHO)本部=2023年2月、スイス・ジュネーブ(ロイター=共同)

 【ジュネーブ共同】スイス西部ジュネーブで開かれた世界保健機関(WHO)総会は1日、感染症の世界的大流行(パンデミック)の予防や対応を定めた「パンデミック条約」案の採択を見送り、加盟国間の交渉を1年延長することを決めた。今総会での採択を目指して2年以上交渉してきたが、ワクチン開発の技術移転などを巡る立場の隔たりが埋まらなかった。  一方で、緊急事態宣言の手続きなどを定めた「国際保健規則」に初めて「パンデミック緊急事態」の規定を盛り込む規則改定案を採択。感染症への集団的対応を強化した。国際保健規則の本格改定は、重症急性呼吸器症候群(SARS)などをきっかけに改定された2005年以来。  パンデミック条約は新型コロナウイルス禍の対応を教訓とした新たなルールで、22年2月に交渉が始まった。先進国と途上国で主張に溝が生じ、技術移転のほか製造したワクチンや検査薬のうち一定の割合を無償または廉価でWHOに提供するとした点について、先進国側は「技術革新を損ねる」と反対した。途上国側は公平な分配を訴えていた。


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