【バンコク=藤川大樹】国軍がクーデターにより実権を握ったミャンマーで、6月からの新学期を迎えた。国軍と抵抗勢力の戦闘が続く地域や避難民キャンプの一部では、学校を再開する動きが徐々に広がっている。竹やビニールシートでできた校舎はもろく、文房具や教科書も足りない。支援者らは、国際社会からの援助を呼びかけている。

◆地雷除去作業中に負傷した人も

4月、ミャンマー東部カヤ州で、建設が進む学校。屋根に使うビニールシートが足りないという(インインさん提供)

 「雨をしのぐために校舎の屋根に使うビニールシートが足りていない」  東部カヤ州で避難民らの支援を行うボランティア団体「カレンニー・サポート・チーム」の代表インインさん(22)はオンライン取材にそう訴えた。  民主派の武装組織「カレンニー国民防衛隊(KNDF)」などの抵抗勢力が、カヤ州デモーソー郡区の東部を掌握。戦闘で避難を余儀なくされていた住民らがこの地域に戻り、29の学校の再建が進んでいる。

オンライン取材に応じるインインさん

 国軍が地雷を敷設したり、不発弾が残っていたりする場所も少なくない。校舎の建設には、それらを取り除く必要があり「除去作業中に負傷した人もいる」という。

◆支援を求めるメールに「返信なし」

 必要な費用は主に国内外からの寄付に頼っているが、資金不足は深刻だ。インインさんは「さまざまなNGOに支援を求めるメールを送ったが、1通も返信はなかった」と声を落とす。  別の地域でも厳しい事情は同じだ。ミャンマー北西部チン州から逃れた避難民らが暮らすインド北東部ミゾラム州のキャンプでは、5~17歳が通う学校が再開。クーデターに反発し、教壇を去った教師らが無給で教えているという。  避難民キャンプは5月初めに強風に襲われ、校舎のトタン屋根が吹き飛ばされた。海外からの寄付などで屋根は修理できたものの、学校の運営に携わるエイモスタンさん(31)は「教科書や文房具、椅子や机も足りない。国際社会は支援をしてほしい」と語った。 

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