【NQNニューヨーク=川上純平】7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比87ドル18セント(0.22%)安の3万8798ドル99セントで終えた。7日発表の5月の米雇用統計は就業者数の伸びが市場予想を上回った。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ時期が遅れるとの観測が米株相場の重荷となった。半面、米景気が市場の想定ほど減速していないとの見方は支えとなった。
雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月比27万2000人増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(19万人増)を上回った。平均時給も0.4%増と市場予想(0.3%増)より高まった。失業率は3.9%から4%に上昇したものの、総じて労働市場の底堅さを示す内容だった。
雇用統計の上振れはインフレ圧力の継続に対する懸念を強めた。市場では、FRBが利下げの判断を下すには「労働需給の緩和を示すさらなるデータを待つ必要がある」(CIBCキャピタル・マーケッツのアリ・ジャフェリー氏)との見方があった。FRBが9月に利下げに転じるとの期待が後退し、米株に売りが出た。
7日の米債券市場で長期金利は4.4%台前半に上昇(前日終値は4.29%)した。金利と比べた株式の相対的な割高感が意識されたのもハイテク株を中心に重荷となった。
もっとも、ダウ平均の下値は堅く、上昇する場面も目立った。前日にかけては米経済の減速を示す指標の発表が相次いでいたため、雇用統計を受けて景気が下振れするとの懸念が和らいだ。市場では「堅調な労働市場が消費を支え、企業収益の拡大につながる」(Bライリーのアート・ホーガン氏)との声があり、株買いを誘った。
ユナイテッドヘルス・グループやウォルマート、マクドナルドの下げが目立った。ホーム・デポとアマゾン・ドット・コムにも売りが出た。半面、スリーエムやJPモルガン・チェース、アップルは上昇した。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落した。前日比39.995ポイント(0.23%)安の1万7133.126で終えた。アルファベットやネットフリックスが下落した。株式分割を控えたエヌビディアは小幅安で終えた。
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