アフリカ開発銀行(AfDB)の年次総会が5月27〜31日にケニアのナイロビで開催されました。豊富な天然資源と巨大な人口を抱えるアフリカの経済は、貧困や紛争から脱して「本格離陸」できるのでしょうか。下田敏編集委員が現地に出張し、AfDB幹部や各国の閣僚らに取材したNikkei Viewsや関連インタビューのまとめ読みです。

アフリカ経済、成長軌道に回帰

AfDBの最新の経済予測によると、アフリカ経済は2024年から年4%前後の成長軌道に回帰する見通しです。消費や投資の拡大がけん引し、世界全体の3.2%成長を上回ります。ただ成長率は国によってばらつきが大きく、インフレや過剰債務が成長を下押しするリスクも消えていません。

  • アフリカ、再び年4%成長軌道に 消費・投資拡大けん引

再生可能エネルギーに潜在力

AfDBのケビン・カリウキ副総裁は、アフリカには太陽光や風力、地熱などの豊富な再生可能エネルギー資源があるにもかかわらず十分な投資が振り向けられておらず、投資拡大と金融支援が必要になると訴えています。

  • アフリカ開銀副総裁「再生エネに成長力」 投資拡大訴え

スタートアップ支援、日本と連携に意欲

AfDBのソロモン・クエノー副総裁は、創業間もないスタートアップの支援に取り組む考えを表明しました。日本の経済同友会の有志企業が設立したアフリカ開発ファンド「and Capital(アンド・キャピタル)」との連携にも意欲を示しています。

  • アフリカ開銀副総裁「創業直後のスタートアップを支援」

各国がアフリカ市場の開拓加速

日本の財務省出身でAfDBの日本等代表理事を務める野元隆章氏は、欧米だけでなくグローバルサウスの新興国もアフリカの市場開拓を加速していると指摘し、日本企業の投資にも大きな期待が寄せられていると話しています。

  • アフリカ開発銀行の野元理事「新興国も市場開拓を加速」

域内貿易の拡大が成長のカギ

世界銀行のブセイナ・グルマジ局長は、アフリカの成長力を引き上げるためには国境を越えてインフラやエネルギー、デジタルの接続性(connectivity)を高める必要があり、域内貿易の拡大がそのカギを握ると指摘しています。

  • 世界銀行局長「アフリカ、域内貿易拡大で地域統合へ」

シエラレオネ、中国の影響力拡大

西アフリカ・シエラレオネのシェク・バングラ財務相は、中国との関係を「最も重要なパートナーシップ」と語ります。インフラ開発や経済協力で影響力を拡大する中国の狙いがシエラレオネの豊富な鉱物資源にあるのは明らか。インタビューでは、それでも親中路線を取らざるを得ない事情もうかがえました。

  • シエラレオネ財務相「それでも中国は最重要パートナー」

親中国アンゴラには米国が急接近

アフリカの親中国のひとつ、アンゴラには米国が急接近しています。米国は欧州連合(EU)などと共同でアンゴラとザンビア、コンゴ民主共和国を結ぶ鉄道を整備する「ロビト回廊」事業を進めます。アンゴラのビクトル・ギリエルム計画相に聞きました。

  • アンゴラ計画相「米国の事業に期待」 脱中国依存を図る
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