ガザ地区の保健当局は9日、前日に地区の中部のヌセイラトで行われたイスラエル軍による人質4人の救出作戦によって、これまでに274人が死亡し、けが人は698人にのぼると発表しました。
作戦は多くの人が市場で買い物をしたり、出歩いたりしている時間帯の午前11時に開始され、イスラエル軍は人質を脱出させる過程でハマス側と激しい銃撃戦となり、空爆も行ったとしています。
ロイター通信が9日に配信した現地からの映像では、多くの建物が破壊され、通りががれきや壊れた車で埋めつくされている様子がうつっていて、ガザ地区の当局は、住宅など89棟が破壊されたとしています。
また、ハマスの軍事部門は9日、動画を公開し、作戦に巻き込まれて3人の人質が死亡し、このうち1人はアメリカ国籍を持っていると主張しています。
イスラエル軍は9日もガザ地区の中部や南部で空爆や地上部隊による攻撃を続けていて、ガザ地区の保健当局は、これまでの死者は3万7084人となったと発表しています。
イスラエルのネタニヤフ首相は9日にも、「ハマスの壊滅という目標を達成することなく戦争を終わらせるつもりはない」と述べていて、停戦や人質の解放に向けた交渉に進展の兆しが見えない中、住民の犠牲が増え続けています。
イスラエル ガンツ前国防相 戦時内閣からの離脱発表
イスラエルの戦時内閣に中道派の野党の立場から主要閣僚として参加していたガンツ前国防相が9日、戦時内閣から離脱すると発表しました。
ガンツ氏は先月、ネタニヤフ首相に対し、ガザ地区の将来的な統治をめぐる計画を策定するよう求め、今月8日までに計画が策定されない場合は、戦時内閣から離脱する可能性を示唆していました。
ガンツ氏は会見で、ネタニヤフ首相に対して、「極めて重要な戦略的決定をちゅうちょし先延ばしにしている」と批判した上で、国民の信を問うために早期に総選挙を実施するよう求めました。
イスラエルの戦時内閣では、ガラント国防相も、ネタニヤフ首相がガザ地区をどのような形で統治していくのかについて明確な計画を示していないことに懸念を示していて、先月には、ネタニヤフ首相に対して、ガザ地区をイスラエルが統治しないことを明言するよう求めていました。
ガンツ氏はガラント国防相に対しても「正しいことをすべきだ」と呼びかけています。
中道派の野党の立場から戦時内閣に参加していたガンツ氏が離脱したことで、ネタニヤフ政権内での極右勢力の発言力が強まり、国内の分断がさらに深まることも予想されます。
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