9日、欧州議会選で躍進したフランスの国民連合(RN)のルペン氏㊧=AP

【ロンドン=大西康平】10日の欧州債券市場でフランスの長期金利の指標となる10年物国債利回りが約3.2%と前週末比約0.08%上昇(価格は下落)し、約6カ月半ぶりの高水準をつけた。9日の欧州議会選で減税を掲げる極右の国民連合(RN)が台頭してマクロン大統領は下院の解散を発表した。政治リスクと財政悪化を懸念した売りが出ている。

フランスの代表的な株価指数のCAC40も同日に2%超下落し、終値ベースで4カ月ぶりの安値を付けた。BNPパリバ(9%安)など、銀行株の下げが目立つ。

欧州議会選ではドイツでも反移民を主張する「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進するなど、極右政党の勢力拡大が鮮明となった。通貨ユーロは対ドルで1カ月ぶりの安値圏まで下落し、独DAX指数も1%安となった。

英キャピタル・エコノミクスのアンドリュー・ケニンガム・チーフ欧州エコノミストは「仏政府の財政赤字の削減が困難になる可能性が高い。2027年の選挙でRNを主導するルペン氏が大統領に選出されれば、政策はポピュリスト的な方向に決定的にシフトするだろう」と指摘する。

予想以上の景気鈍化により、仏財政には選挙前から警戒感が出ていた。米S&Pグローバルは5月末、仏国債の信用格付けを従来のダブルAからダブルAマイナスに引き下げた。

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