【NQNニューヨーク=戸部実華】10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前週末比69ドル05セント(0.17%)高の3万8868ドル04セントで終えた。週内に米連邦公開市場委員会(FOMC)と5月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、投資家の様子見姿勢が強かった。積極的な売買を手控える雰囲気があるなか、個別に材料が出た銘柄やハイテク株の一角が買われ、ダウ平均を支えた。

米連邦準備理事会(FRB)は11〜12日にFOMCを開く。政策金利の据え置きを決める公算が大きいが、併せて公表する参加者の政策金利見通しやパウエルFRB議長の記者会見に注目が集まる。年内の利下げ予想が前回3月時点(3回)から減るとの見方が多い。

12日には5月のCPIも発表される。前週末発表の5月の米雇用統計で雇用者数と賃金の伸びが市場予想を上回り、FRBが利下げを急がないとの見方が再び広がった。「足元のインフレ動向を確かめたい」(マーフィー・アンド・シルヴェスト・ウェルス・マネジメントのポール・ノルティ氏)との声があった。10日は主要な経済指標の発表もなく、積極的な売買は見送られやすかった。

そのなかで、アナリストが投資判断を引き上げたウォルマートとハネウェル・インターナショナルが買われた。アマゾン・ドット・コムやマイクロソフトなど主力ハイテク株の一角のほか、ホーム・デポやウォルト・ディズニー、ユナイテッドヘルス・グループも高かった。

ダウ平均は下げる場面もあった。年次開発者会議(WWDC)を10日に開いたアップルは2%近く下げた。ビザやマクドナルド、ナイキも売られた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発し、前週末比59.403ポイント(0.34%)高の1万7192.529で終えた。5日以来となる過去最高値を更新した。10日から株式分割後の株価で取引が始まったエヌビディアが上昇した。ブロードコムやマイクロン・テクノロジーなどの半導体株も買われた。一方、アナリストが投資判断を引き下げたアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は売られた。

多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も3営業日ぶりに反発した。前週末比13.80ポイント(0.25%)高の5360.79で終え、5日以来となる最高値を更新した。

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